【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】鈴木涼介さん(その2)分析の起点は金利と金融政策
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毎週金曜日にお届けします!!
今週も前回9/11(金)に引き続き、鈴木涼介さんについてです。
⇒鈴木涼介さん(その1)債券部門G7通貨スワップのヘッドトレーダー
⇒鈴木涼介さん(その2)分析の起点は金利と金融政策
⇒鈴木涼介さん(その3)ダウ・日経のスプレッドを取引
⇒鈴木涼介さん(その4)東証が売買停止!そのときの取引は
■「株も為替も債券市場を通して動く」
「中央銀行にしても操作できるのは金利。金融政策に沿って付利金利(金融機関の超過準備に与えられる金利)などを操作し、市場金利を誘導していきます。規模で見ても一番大きな金額が動いているのは債券市場。株や為替、コモディティ、それに仮想通貨にしても『債券市場を通して動く』とも言えるんです」
債券市場で活躍した鈴木涼介さんだけに、分析の起点となるのは金利や中央銀行の政策だ。
「債券市場には個人がおらず、市場参加者のほぼ全員が知り合い。プロだけが参加する市場なので債券価格は合理的に形成されます。それに対して株や為替の値動きは非合理的。『金利がこうなったから、株はこうなる』と債券市場を基準にしてすぐに株式市場でポジションを入れると、非合理的な動きで負ける。金利の変化を織り込むまでひと呼吸、ふた呼吸置いてからトレードしたほうが上手くいきます」
鈴木さんは何を見てトレードするのか。
「債券トレーダーはチャートをほとんど見ない。『ゴールデンクロスで買え』とか、インジケータに機械的に従うだけで勝てるなら人間が取引する必要なんてない。一時的に勝てることはあっても10年、15年と勝ち続けることはできません。それでも私はチャートを見る部類だと思います。債券トレーダーは普通、為替をトレードしません。でも、私は異通貨間の金利の交換商品である『通貨スワップ』(ベーシススワップ)を通じて、為替リスクもトレードしていたことが他の債券トレーダーとは少し違います」
チャートはポジションを取る、外すときの目安となるが、分析の出発点となるのは金利、そして中央銀行の金融政策だ。
■ビットコインも金融政策で動く
「株や為替はもちろんビットコインの上昇も金融政策から説明できます。今は世界の主要な中央銀行がこぞって金融緩和政策を進め、バランスシートを拡大させています」
バランスシートの拡大が始まったのは日米欧などの中央銀行が金融緩和を始めたリーマンショック以降だ。
「しかし、2014年と2018年にはFRBがバランスシート縮小などへ動いたことにより、減少しています。グラフの赤枠の部分です。同じ時期、ビットコインの価格は下落していました」
主要中銀が金融緩和を進めるとジャブジャブにあふれたマネーがビットコインへ流れて価格が上昇し、金融緩和を縮小させるとビットコインへと流れるマネーが減り価格が低下する、という関係だ。
「2019年から世界は再びバランスシートは拡大し始め、コロナショックで緩和基調が強まるとビットコイン価格も堅調に推移しています」
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■自信を取り戻したパウエル議長
コロナショックで一時、4000ドルまで暴落したビットコインだが、金融緩和が強まるとともに1万ドルを回復した。
「昨年はトランプ米大統領や債券市場に翻弄されたイメージの強いパウエルFRB議長ですが、コロナショック以降、腹をくくったように見えると債券市場関係者は見ています」
その様子は金融政策決定会合後の記者会見からわかるという。
「FOMC後の記者会見を見ても、自信を持った態度へと変化していることに気づくはずです。主要中銀総裁の記者会見はぜひ生で見てください。記者との質疑応答での表情や言い回しにヒントが隠されていることがあるからです」
鈴木涼介さん(その3)へ続く。
鈴木涼介さんのコラムは全4回となっています。
⇒鈴木涼介さん(その1)債券部門G7通貨スワップのヘッドトレーダー
⇒鈴木涼介さん(その2)分析の起点は金利と金融政策
⇒鈴木涼介さん(その3)ダウ・日経のスプレッドを取引
⇒鈴木涼介さん(その4)東証が売買停止!そのときの取引は
【プロフィール】
鈴木涼介さん
ゼニファス・キャピタルCEO。ドイツ証券入社、ドイツ銀行ロンドンを経て、HSBCロンドン債券部G7短期通貨スワップトレーディング部門のヘッドを務め独立。現役金融市場トレーダーとの人脈から得た金融・仮想通貨市場分析をnoteなどで配信する。