【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】山中康司さん(その2)個人とAIが変えた為替市場
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今週も先週に引き続き、山中康司さんについてです。
⇒山中康司さん(その1)通貨が取引停止になるとき
⇒山中康司さん(その2)個人とAIが変えた為替市場
⇒山中康司さん(その3)月が赤道を横切ると相場が動く
⇒山中康司さん(その4)ローソク足を追い越す移動平均線
■東京市場の3分の1が個人からのフロー
1982年にバンク・オブ・アメリカへ入行してから続けてきたディーラーとしての生活に山中さんが別れを告げたのは2002年。為替取引が個人投資家に解禁された4年後だった。
「FXが登場し、ディーリングルームでも『こんな商品が登場したらしい』とFX会社のデモトレードが話題に出たことがあります。為替市場でも個人投資家の存在が目につくようになってきました」
当初は傍流だったFXだが取引高が増加するとともに、為替市場を動かすエンジンのひとつとなった。
「ディーリングルームにいる人間にいわせると、東京市場の3分の1、多い日には半分ほどがFX会社からのフローだそうです」
■個人投資家のポジションがボラを低める要因に
この数年、為替市場の値幅は低下している。2018年の米ドル/円は上下10円にも満たない値幅だった。
「個人投資家のFXが活発になったことが要因のひとつだと思います。個人投資家は基本的に逆バリ好き。下がれば買うし、上がれば売る。マーケットの変動を抑える役割を果たしているように感じます」
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■AIが主導したトランプラリー
存在感を高めた、もうひとつの存在がアルゴリズムやAIによるトレードだ。
「AIの存在を最初に感じたのは2016年のトランプラリー。あの値動きは人間が動かしている感じがしませんでした。『トランプ当選なら株売り・ドル売り』が事前のコンセンサスだったのに、実際には正反対の動きとなりました。『なぜここまで追いかけて買ってくるのだろう』と強い違和感がありました。背景にあったのはAIやアルゴだったのかもしれません」
当時のAIの主流は、金融政策や政権などの大きな転換材料をフォローする初歩的なプログラムだったという。米大統領選で経済重視の共和党へ政権が移ったことにより、AIが一斉に株買い・ドル買いへと動いた、というのが山中さんの仮説だ。
「ゴールドマン・サックスで600人いたエクイティ・トレーダーがAIに置き換えられ2人に激減した、とのニュースが以前話題になりました。あの記事が出たのは2017年2月。米大統領選直後です。トランプラリー前後にアルゴやAIが活躍し始めたと仮定しても整合性がとれます」
■「新値のゾロ目は縁起物」
もっと牧歌的な時代もあった。「新値のゾロ目は縁起物」と山中さんはいう。
「111円11銭のようなゾロ目のレートに数年ぶりに達すると、ディーラーたちが縁起物だといって、こぞって売りに行くんです。そうした新値のゾロ目を売って50銭下で買い戻すような単純な取引が機能していた時代もありました」
そんな時代が終わり、AIや個人投資家、ヘッジファンドなどの存在感が高まった現在の為替市場で、山中さんはどんなトレードを行っているのだろうか――。
山中康司さん(その3)へ続く。
山中康司さんのコラムは全4回となっています。
⇒山中康司さん(その1)通貨が取引停止になるとき
⇒山中康司さん(その2)個人とAIが変えた為替市場
⇒山中康司さん(その3)月が赤道を横切ると相場が動く
⇒山中康司さん(その4)ローソク足を追い越す移動平均線
【プロフィール】
山中康司さん
バンク・オブ・アメリカや日興証券などでディーラーを務め、独立。FX会社のセミナーや連載などで活躍する。テクニカル分析の豊富な知識や活用法、自身で確立した金融占星術理論など、他に類を見ない方法論が個人投資家に好評。2018年11月には金融詐欺被害などの撲滅をめざして金融リテラシー協会を設立した。