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今週も先週に引き続き、井口喜雄さんについてです。

⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人･井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは

■「偏っていれば逆サイドを想定する」

「日々の分析は３つのステップを踏んでいます。ファンダメンタルズ分析、ポジション状況のチェック、そしてチャートです」

トレイダーズ証券の為替ディーラー・井口喜雄さんが日々、どうやって分析しているのかを聞いていこう。

「ファンダメンタルズ分析はチーム制。ディーラー同士で材料を持ち寄りながらチームで議論しています。次に行なうのがポジション状況のチェック。ここは気にしているポイントです。IMMの投機筋ポジションはもちろん、銀行と話しているとポジションの偏り具合を推測できることがあります。ポジションの偏りがあれば、逆サイドでの勝負をセオリーにしています」

大きく売りに偏っていれば、いずれ決済の買戻しが発生し、上がる可能性が高い。買いポジションが膨らんでいれば、その決済売りに警戒して下目線となる。

■トレイダーズ証券の便利なツール

「偏っていることが多いプレイヤーが個人投資家です。個人投資家のポジション状況はトレイダーズ証券の取引ツールで見ることができます。『売買比率』です。これは毎日欠かさず確認しています」

トレイダーズ証券の「みんなのFX」口座を持っている人はログイン後、【情報ツール】→【売買比率】と進むと表示されるし、スマホアプリでも閲覧可能だ。

「それぞれの通貨ペアごとに『人数』と『ポジション』、２つの棒グラフが示されますが、個人投資家全体の縮図を知るには人数のほうが適切だと思います。ポジションだと、ひとりの大きなポジションが影響してしまうことがあるためです」

売買比率の偏っている通貨ペアがあればクリックを。

「そうするとレートごとのポジション比率が表示されます。グラフの右上の部分は含み損になっている買いポジション、左下は含み損になっている売りポジションです。ここで意識してほしいのはロスカット。左下の棒グラフが長いようであれば、『そろそろ売り手のロスカットが発生するかもしれない』とイメージできます」

あとはチャートを見ながら直近高値など、売り手がストップを置きそうな場所を探していこう。その水準を超えるとロスカットが発生して、跳ねる可能性がある。


※クリックで拡大します

■テクニカル分析は効かなくとも勉強したほうがいい

「チャートには何のテクニカルも表示させていません。生のチャートです。以前はテクニカル分析にどっぷりハマった時期があり、パラメータを変えてバックテストをしたり、独自のインディケータを作ったこともありますが、結論としてテクニカルだけでは勝ち続けることはできないと思いました。今は水平線を引くくらいです」

「それでも」と井口さんは続ける。

「初心者はテクニカル分析を一度、研究してみるべきだと思います。『テクニカルだけでは勝ち続けることができない』と自分で実感しないと、次のステージへ昇ることができないからです。それにテクニカルはまったく効かないわけではない。『この１か月は移動平均線がサポートになっている』といったように、一定期間、テクニカルに忠実へ動くことがあります。そんなときはテクニカルを見ておいたほうがいいですから」

井口喜雄さん(その4)へ続く。

井口喜雄さんのコラムは全4回となっています。
⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人･井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは

【プロフィール】
井口喜雄さん
為替ディーラー。1999年に金融業界へ身を投じ、現在はトレイダーズ証券のディーリングチームを率いる。羊飼いブログで毎週水曜日に相場観や戦略を公開するほか、テレビ出演やセミナー、ツイッターなどを通じた個人投資家向けの情報発信も活発。