【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは
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毎週金曜日にお届けします!!
今週も先週に引き続き、井口喜雄さんについてです。
⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人・井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは
■「0.3銭原則固定」の裏にある苦労
トレイダーズ証券のディーリングルームを率いる井口喜雄さん。普段、どんな仕事を行なっているのだろうか。
「ひとつはプライシング、つまり皆さんへの為替レートの配信です。カウンターパーティ(カバー先)のレートをモニタリングしながら、各行の約定サーバの置かれた場所も考慮し、最良のプライスを営業時間中、"必ず"出し続けることが仕事になります」
トレイダーズ証券のスプレッドは米ドル/円だと業界最狭水準となる0.3銭・原則固定だ。「インターバンク市場以上に狭い」と言われることもある水準だ。
「0.3銭を維持するのは非常に厳しい。流動性の厚みを増すためにカウンターパーティを増やしたり、AIを利用して最適化させたり、あるいはディーラーが持つポジション・持たないポジションを精査したりと、さまざまな工夫でどうにか0.3銭を維持しています」
■「AIにすべて委ねるわけにはいかない」
顧客からの注文をすぐにカバー先へ流すのか、あるいはディーラーが持つのか。その判断によって収益は大きく変わってくる。これが2つめの業務となるディーリングだ。
「今日はどんな方向ならポジションを持つのか、持ったポジションをどこで決済するかといった判断を常に求められますし、『今夜はトランプの発言が出るかもしれないから、一度ポジションを落とそう』といったように、『持たない判断』を行なうこともあります」
AIも活用しているが、すべてを任せるわけにはいかないようだ。
「AIではトランプの発言の中身までを分析することはまだできない。それは僕ら人間が判断していくことになります。そのうちディーラーという仕事がなくなるのかもしれませんが、今はまだAIにすべてを委ねるわけにはいきません」
■トルコリラ/円の100円スワップを維持するために
スプレッドだけでなく、スワップでの競争もある。とくに最近ではトルコリラ/円でのスワップ競争が熾烈だが、みんなのFXでは他社より高水準な100円の買いスワップを維持している。トルコショックとも呼ばれるような急落のあと、100円のスワップを保つのは大変そうだが......。
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「スワップ取引を専門に行なう『スワップディーラー』を配置する会社もありますが、トレイダーズ証券では僕らが担当することになります。『ロール』と呼ぶ業務です。ここもFX会社の収益に直結する部分になります」
こうした業務のほか、羊飼いブログでの連載などメディアでの連載やセミナーへの登壇といった個人投資家との接点も多い井口さん。為替市場だけでなく、FX会社の裏側も知っている井口さんの情報、ぜひ活用を。
井口喜雄さんのコラムは全4回となっています。
⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人・井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは
【プロフィール】
井口喜雄さん
為替ディーラー。1999年に金融業界へ身を投じ、現在はトレイダーズ証券のディーリングチームを率いる。羊飼いブログで毎週水曜日に相場観や戦略を公開するほか、テレビ出演やセミナー、ツイッターなどを通じた個人投資家向けの情報発信も活発。