【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】井口喜雄さん(その2)新人・井口が学んだこと
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毎週金曜日にお届けします!!
今週も先週に引き続き、井口喜雄さんについてです。
⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人・井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは
■「頭にチャートを描けるようになれ」
「チャートもニュースも見なくていい、とにかく銀行が出すプライスだけを見て、頭にチャートを描けるようになれ――上司にそう言われたのはディーリングルームに入った最初の日のことでした」
トレイダーズ証券の為替ディーラー・井口喜雄さんは目を細めてそう振り返る。
「僕が新人のとき、どう教わったかをお伝えすることが皆さんのトレードに役立つかもしれません。僕がディーリングルームに入ったのは約10年前でしたが、そのやり方は今も通用すると思いますし、僕が新人に教えている内容でもあるんです」
上司の言葉どおり、銀行のプライスだけを凝視した新人時代の井口さん。そこにはどんな意味があったのだろう。
■なぜあの銀行はプライスをずらしたのか?
「何日も何日も10行ほどの銀行から配信されるレートを一日中見ていました。そうするとクセがつかめてきたんです。もちろん、各行ともほとんど同じプライスですが、たまにずれることがあり、そのずれ方には傾向があったんです」
ある銀行が下に寄せてくると他行も追随しやすかったり、1行だけおかしな動きをしていたら大口のストップをつけに行ったり、モニターの向こう側のオーダー状況や銀行の心理が透けてみえるときがあったという。
「推測でしかないのですが、銀行のクセが自分の中に蓄積されていきました。銀行のプライスだけをひたすら監視するという作業は長いことやっていましたし、その習慣は今も染み付いている。モニターにはトレイダーズ証券で取り扱っている20通貨ペアすべてについて、10行のプライスを表示させています」
でも個人投資家には銀行からの生のレートを見ることはできない。
「FX会社から配信されるレートを見ることにも意味があると思います。そこにもクセが現れるはずですから」
■自分の「担当通貨」と「担当時間」を決める
自身のディーリングだけでなく、個人投資家向けのセミナーも行なっている井口さん。最近では会場セミナーを開催するFX会社が減ってきているが、トレイダーズ証券ではウェブセミナーだけでなく会場セミナーの開催にも積極的。井口さんもつい先日、会場セミナーを終えたばかりだ。
「為替ディーラーはそれぞれ担当する通貨ペア、時間があります。それは個人投資家の方にも意識してほしいポイントのひとつです。僕の新人時代は上司がメインとなる米ドル/円を担当し、マネジメント職も兼ねていたため日勤、東京市場をカバーしていました。そのため僕が最初に担当させてもらったのは夜勤。つまりニューヨーク時間でした。通貨ペアは英ポンド/円やユーロ/円です」
22時半(夏時間21時半)に米経済指標が発表され、1時間後に米国株市場がオープン、24時(夏時間23時)にオプションカット、25時(夏時間24時)にロンドンフィックスがあってと、イベントが多い時間帯だ。
「ロンドンフィックスを通過すると値動きも落ち着いてくるので、少し気を抜ける。経済指標やダウの寄り付きから2、3時間の集中勝負です。この時間に同じ通貨ペアを見ていると、やはりクセがつかめてきます。同じ通貨ペアを同じ時間に監視することは本当に大切です」
井口喜雄さん(その3)へ続く。
井口喜雄さんのコラムは全4回となっています。
⇒井口喜雄さん(その1)FX会社のプロディーラー
⇒井口喜雄さん(その2)新人・井口が学んだこと
⇒井口喜雄さん(その3)重視するのは売買比率
⇒井口喜雄さん(その4)ディーラーの仕事とは
【プロフィール】
井口喜雄さん
為替ディーラー。1999年に金融業界へ身を投じ、現在はトレイダーズ証券のディーリングチームを率いる。羊飼いブログで毎週水曜日に相場観や戦略を公開するほか、テレビ出演やセミナー、ツイッターなどを通じた個人投資家向けの情報発信も活発。