【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】岩壷健太郎さん(その3)FX適性がわかる1つの質問
ガチンコFXの人気コンテンツ【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】が羊飼いに移植!
毎週金曜日にお届けします!!
今週も先週に引き続き、岩壷健太郎さんについてです。
⇒岩壷健太郎さん(その1)「9割がFXで損している」というのはデタラメ
⇒岩壷健太郎さん(その2)勝ち組の取引に見える「矛盾」
⇒岩壷健太郎さん(その3)FX適性がわかる1つの質問
⇒岩壷健太郎さん(その4)収益にもっとも影響する「心の指標」
■平均値予想ゲームであなたの選ぶ数字は
●0~100の数字の中でどれか1つを選んでください。選んだ数字が、「すべての参加者が選ぶ数字の平均に3分の2を乗じた値」に最も近い参加者が正解となります。つまり、すべての参加者が選んだ数字の平均に3分の2を乗じた値を選んでください。
少し考えてみてほしい。こんな問題を出されたら、あなたはどんな数字を答えるだろう。その答えによって、あなたのFXへの適性がわかる。
「これはゲーム理論でよく使われる設問です。回答者全員が合理的なら正解はゼロになります」
なぜゼロになるのか。まず前提となるのは、正解は必ず66よりも小さくなるということ。選ばれた数字の平均に3分の2をかけるから、66.6(100×2/3)よりも必ず小さくなる。「ということは、みんなはゼロから66の間で選ぶ。その平均である33が正解だろう」と考えるのが合理的、とも考えられるが......。
■合理的に考えた正解はゼロ
「さらに合理的に考えると、『みんなが33を選ぶだろうから、ゼロから33の平均に3分の2をかけた22が正解だ』ということになりますし、もう一歩進んで『みんなが22を選ぶから22の3分の2の14、みんなが14を選ぶから3分の2の9――』といったように合理的な推論を重ねていくと数字は小さくなり、最後にはゼロとなります。ただ、実際に回答させると2歩くらい先を読んだ20くらいが平均的な回答となりやすいようです」
ちなみに岩壷教授が行なった調査での1365人の回答から上位15項目を抜粋すると、こんな感じだった。
表:平均値予想ゲームへの回答(抜粋)
■他人の行動を推察して回答できるかどうか
正解を考えるには、他の参加者のレベルも重要になる。「この問題はみんな初めてだから平均は33くらいだろう」、「ゲーム理論を学んだ人が多そうだから平均は20よりも小さそうだ」といったように、他の参加者の行動を意識しながら回答を模索していくのはトレードでも大切なこと。ケインズが提唱した「美人投票」の理論でもある。
岩壷教授がSBI FXトレードと共同で行なった研究では、こうした『行動バイアス』についても尋ねている。
■「心の理論」が優秀な人は損益も優秀
「その結果、この平均値予想ゲームはパフォーマンスとも正の相関があることがわかりました。小さな数字を選んだ人=他人の行動を推測できる『優れた心の理論』の持ち主は知識や経験が豊富で、保有期間が長く、他のトレーダーの予想を参照することが少ない、という特徴があり、パフォーマンスが高まりやすいようです」
岩壷教授は、行動バイアスについて「心の理論」など合計7項目の質問を行なっている。その結果はパフォーマンスとも密接に関係しているという。次回、どんな行動バイアスが需要なのか、さらに聞いてみよう。
岩壷健太郎さん(その4)へ続く。
岩壷健太郎さんのコラムは全4回となっています。
⇒岩壷健太郎さん(その1)「9割がFXで損している」というのはデタラメ
⇒岩壷健太郎さん(その2)勝ち組の取引に見える「矛盾」
⇒岩壷健太郎さん(その3)FX適性がわかる1つの質問
⇒岩壷健太郎さん(その4)収益にもっとも影響する「心の指標」
【プロフィール】
岩壷健太郎さん
神戸大学大学院経済学研究科教授。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学経済学研究科修士課程修了、UCLA博士課程修了(Ph.D.)。富士総合研究所、一橋大学経済研究所専任講師を経て、2013年より現職。為替、株式、国債、コモディティの各分野で論文多数。主要著書として、『コモディティ市場のマイクロストラクチャー』など。