【FXライター高城のFXで稼ぐ方法は勝者に訊け!】岩壷健太郎さん(その4)収益にもっとも影響する「心の指標」
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今週は、岩壷健太郎さんについて最終回です。
⇒岩壷健太郎さん(その1)「9割がFXで損している」というのはデタラメ
⇒岩壷健太郎さん(その2)勝ち組の取引に見える「矛盾」
⇒岩壷健太郎さん(その3)FX適性がわかる1つの質問
⇒岩壷健太郎さん(その4)収益にもっとも影響する「心の指標」
■あなたのFX成績、全体で見てどのくらい?
「SBI FXトレードとの調査では行動バイアスについて7項目の質問を行ない、実際のパフォーマンスとの関係を探りました。もっともパフォーマンスへの影響が大きかったのは『自信過剰』です」
「自信過剰」を測定したのはこんな質問だ。次の質問に対して、感覚的に答えてみてほしい。
●外国為替証拠金取引(FX)であなたのパフォーマンスは全参加者のうちどのポジションに該当すると思いますか?
選択肢(上位10%・上位1/3・平均くらい・下位1/3・下位10%)
岩壷教授が行なった調査では自分を平均か、それ以上と思っている人は25%だった。
■自信過剰な人ほど損をする
「日本人全体では自信過小な傾向だと思いますが、FX参加者にかぎると一般よりも自信過剰なようです。自信過剰な人の実際のパフォーマンスを見ると、『自信過剰な人ほど損をしている』という傾向がありました」
表:「自信過剰指数」
「この調査では投資戦略や取引行動についても変数に加えましたが、自信過剰な投資家にはパフォーマンスを悪化させるような取引を行なう傾向がありました。レバレッジが高く、スキャルピングなどの短期投資を好み、取引回数が多い――といった傾向です」
前回紹介した調査で勝っている人の特徴として勝率とリスクリワード比の高さが浮かびあがった。そうした取引を行なうのは行動バイアスについての質問で優秀だった人が多いという。
「パフォーマンスの説明力を見ても、行動バイアスが25%と割合が大きく、投資戦略・取引行動は4%でしかありません」
他人の心理を推測して考えられる心の理論や、自信過剰ではないことが結果として高い勝率やリスクリワード比を生み出す取引になり、それが高いパフォーマンスへとつながっているようだ。
■行動バイアスは変えられる
勝つためには内面、心が重要だということになるが、では、自分の行動バイアスは変えることができるのだろうか?
「行動経済学的な性質をラーニングできるのかを研究した論文もあります。ラーニング能力はさほど高くないという結果でしたが、僕は行動バイアスも変えられると思っています。『コツコツドカンをなくそう』と意識すれば取引が変わり、行動バイアスも変わっていく。そのためにはまず、自分がどんなバイアスを持っているのか、知ることが大切です」
今回紹介したのは2つの設問だけだが、SBI FXトレードのホームページには7つの設問すべてが掲載されている。興味のある人はぜひ参考に。
2018年にFXのレバレッジを10倍へと引き下げる議論が持ち上がったことがある。そのとき、金融庁でレバレッジ規制強化に反対する論陣を張ったのが岩壷教授だった。個人投資家の立場で行動経済学を研究する頼もしい存在でもある岩壷教授。その研究、今後もぜひ注目を。
岩壷健太郎さんのコラムは全4回となっています。
⇒岩壷健太郎さん(その1)「9割がFXで損している」というのはデタラメ)
⇒岩壷健太郎さん(その2)勝ち組の取引に見える「矛盾」
⇒岩壷健太郎さん(その3)FX適性がわかる1つの質問
⇒岩壷健太郎さん(その4)収益にもっとも影響する「心の指標」
【プロフィール】
岩壷健太郎さん
神戸大学大学院経済学研究科教授。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学経済学研究科修士課程修了、UCLA博士課程修了(Ph.D.)。富士総合研究所、一橋大学経済研究所専任講師を経て、2013年より現職。為替、株式、国債、コモディティの各分野で論文多数。主要著書として、『コモディティ市場のマイクロストラクチャー』など。