8月25日更新版★スワップ金利がめちゃくちゃ高いトルコリラだけど、実際の相場は右肩下がりでショートしていた方が儲かっていた件。[トルコリラ円のスプレッド&スワップ金利比較付き]
本日は、最近、注目度が上がっているトルコリラを取り上げたいと思います。
ここ数年、FX業界ではトルコリラの取り扱いを始める会社が増えてきました。
スプレッドも徐々に狭くなってきており、最近では、2018年7月2日に、GMOクリック証券と外為どっとコムがトルコリラ/円のスプレッドを2.9銭から1.9銭に縮小しました。
また、マネーパートナーズ[パートナーズFX]は、2018年8月31日までの期間限定で、1.9銭原則固定のスプレッドキャンペーンを実施しています。
トルコリラ/円の人気に火がついたのは、そのスワップ金利の高さが大きな要因です。
トルコの政策金利は、2018年8月の時点で17.75%もあります。
同じく高金利通貨として知られている南アフリカランドの政策金利が6.50%なので、トルコの今の金利の高さは驚異的です。
ちなみに、日本は長い間ゼロ金利政策を掲げており、政策金利は0.1%しかありません。
つまり、トルコと日本の金利差を考えると、トルコリラ/円のスワップ金利が高いのも納得です。
主要FX会社のトルコリラ情報をまとめたものがこちら。
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※スプレッドはFX取引会社が主張している通常スプレッドの最小値を基本としている
(実際に口座を確認し、乖離が大きい場合はリアルに近い値を採用)
※実施期間3週間以上のキャンペーンスプレッド掲載(黄色)
※赤字は固定スプレッド(原則固定)を表す
※黒字は随時変動スプレッドを表す
※スプレッドの単位はドル円及びクロス円は銭、ドル円以外のドルストレートはpips
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スワップ金利で一番高いのが、IG証券[標準]の108円です。
これは、トルコリラ/円を1万通貨買った場合に付与される1日分のスワップ金利です。
逆にトルコリラ/円を1万通貨売った場合は、IG証券[標準]で122円のマイナスとなります。
これほど高いスワップ金利が付くなら、とりあえずトルコリラ/円を買っておけばいいのではと思うかもしれませんが、レバレッジのかかる金融商品であるFXでは、スワップ金利だけを目的にポジションを持つのは非常に危険な行為です。
なぜなら、相場の動きによっては、スワップ金利以上の損失を出してしまうこともあるからです。
たとえば、直近10年のトルコリラ/円の値動きを見てみると、2008年のリーマンショック以降は右肩下がりになっています。特に2015年以降は、毎年安値を更新している状態です。
<トルコリラ/円 週足>
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つまり、スワップ金利目的で外貨投資的にトルコリラ/円を買っていた場合、スワップ金利で得られる利益以上に為替レートの下落で損をしていた事になります。
しかも、今年2018年はさらに下落が加速していて、年初は30円台だったのが、8月13日(月)には15円台まで暴落する局面もありました。
<トルコリラ/円 日足>
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特に8月は、2週間足らずで7円も暴落したのですが、きっかけとなったのは、8月1日に米政府がトルコの法相と内相に対して経済制裁を科したことでした。
さらに追い打ちをかけるように、8月10日に、トランプ米大統領がトルコに対してアルミニウムと鉄鋼の関税率を2倍に引き上げると発表したことで、トルコリラの下落は加速し、相場は一時パニック状態となりました。
トルコリラ/円は、今年に入ってから一時15円も下落しており、仮に年初の高値の30円で1万通貨買った場合、15円の下落で為替差損は15万円になります。
スワップ金利は日々変動するものですが、仮に買いのスワップ金利を100円として計算すると、1月1日から8月13日まで225日分のスワップ金利は、2万2500円です(※スワップ金利は土日も付与されます)。
FX会社や取引時期によって、スワップ金利の金額は異なりますが、100円という高いスワップ金利でも、為替差損をカバーできるような金額にはなりません。
逆に、もしも年初にトルコリラ/円を1万通貨売っていたら、為替差益が15万円で、売りに対して支払うスワップ金利を高く見積もって150円とした場合でも、差し引き11万円以上の利益が出ている事になります。
もちろん、長期の下落トレンドの中でも、上昇する場面やレンジ状態の時もあるので、うまく上昇に乗ることができれば、為替差益+スワップ金利で一石二鳥になるタイミングもあることはあります。
実際、今年の上半期の下落途中にも、1~2円程度の反発は何度もありました。
さらに、8月13日に15円台の安値をつけた後は、わずか4日間で4円も反発しています。
<トルコリラ/円 日足>
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しかし、暴落後の反発を下から上まですべて取るのはほぼ不可能で、大きな下落の流れの中で反発を狙うというのは、簡単なことではありません。
また、トルコという国の不安定さも続いています。
そして、2018年8月20日~24日は、トルコでは宗教的な祝日の「犠牲祭」にあたり、この週はトルコの金融市場も休場しています。
ただでさえ、主要マーケットも夏休みモードで閑散としているのに、トルコの祝日が重なることで、トルコリラの流動性はいつも以上に低くなり、不安定な状況です。
こうした8月のトルコリラ暴落と、1週間の祝日という状況を受け、FX会社各社もトルコリラ/円のスプレッドを拡大したり、レバレッジ上限や建玉上限を低くするなどの措置を取っています。
<参考記事>
⇒トルコリラ/円の相場変動に伴う各社のスプレッドについて
トルコ経済の先行きが不透明な中、中長期的にみても、スワップ金利が高いからといって安易にトルコリラ/円のロングポジションを持ち続けるのはおススメできません。
特にFXでは、スワップ金利はオマケくらいに考えて、戦略的なトレードを心がけましょう。